『「大人になりきれない人」の心理』―もしや「愛着するな」では

加藤諦三著『「大人になりきれない人」の心理』PHP文庫を読んだ。

タイトルと著者にひかれて一気に読んだ。
重苦しい本だ。読み終わってどっと疲れが出た。

「大人になりきれない人」とは、自分一人が生きるのに精一杯なのに、社会的責任を負わされて生きるのが辛くて、どうにもならなくなっている人―つまり「五歳児の大人」をいう。

あたかもベートーベンの第九交響曲の第一楽章のように、「五歳児の大人」が、大きな波になって次々と押し寄せてくる。
だからどうなんだ!
どうしたらいいんだ!
と叫びながら読んだ。読んでも読んでも答えが分からない。

何故そんな「五歳児の大人」ができるのか。
著者は、フロイト、フロム、ボウルビィそして自分自身を引き合いに出して、その原因をきわめてゆく。
それは母なるものを持たない母親のもとに生まれたことだ―と。
そして、自分は「母なるもの」を持たない母親のもとに生まれたのだと理解した時に、人々への恨みも消えてゆくのだ―と、読者を突き放す。
そして、どんなに苦しくても最後に「おかーさーん!」と言える大人は、幸せである―と結ぶ。


しばらくして、これは「禁止令」ではないだろうかと気づいた。
「存在するな」でもない、「近づくな」でもない・・・一体どんな禁止令だろう。
ふと気がついた。
最近、禁止令に「愛着するな」という新たな禁止令が追加されたという。
もしかしたら、「五歳児の大人」こそ、「愛着するな」の禁止令かも知れない。いやきっとそうに違いない。
そんなことを考えさせられた。

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