トルストイ『イワン・イリッチの死』を読んで

文学青年に戻ったように、トルストイの『イワン・イリッチの死』を読んでいる。

一官吏が不治の病にかかって肉体的にも精神的にも恐ろしい苦痛をなめ、死の恐怖と孤独にさいなまれながらやがて諦観に達するまでの経過をえがく。

何の変哲もない人間の死を描くので、初めから淡々とした描写が続く。
若いときならともかく、やはりこの年になるとまどろっこしい。
結論が知りたくなる。
途中を斜め読みして結論を読む―

死とは何だ?
恐怖はまるでなかった。なぜなら死がなかったからである。
死の代わりに光があった。
「ああ、そうだったのか!」彼は声にたてて言った。「なんという喜びだろう!」

そして、彼は息を吸い込んで、ぐっと身を伸ばしてそのまま死んでしまう。

それだけだと言ってしまえばそれだけの話しだが、ふっと心にわき上がってきたものがあった。
フォーカシングでいう、フェルトセンスのような。
かつて、憎しみ、怒り―そんなものが天女になって、右の肩から昇天していったような・・・。
なんだか懐かしいような、安らぎのような。
そんな感覚がわき上がってきた。

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